数字で造るのではない! 五感で造るのだ!
数字で造るのではない! 五感で造るのだ!
日本酒「水尾」醸造元 田中屋酒造店 鈴木杜氏の言葉です。
このブログでも何回か書いたことがありますが、飯山の田中屋酒造店は伯母が嫁いだ酒蔵で、現在は従兄が社長をしています。何かにつけて色々と教えてもらっている、私にとっては励みになる酒蔵でもあります。
昨日、この蔵の甑倒しというお祝いがありました。
甑倒しとは?
「寒造り」も終盤となり、最後の醪(もろみ)の仕込みに使う米を蒸し終えること。蒸米(ふかし)をしていた甑を大釜から外し、それを横に倒して洗うことから、このように呼ばれた。「甑倒し」当日は「蒸米」の無事終了を「酒造の祖神」に感謝し、蔵人によるお祝いが催される。日本酒用語の解説から
まず社長で私にとっては従兄の挨拶
そして鈴木杜氏の挨拶です。
凄く、すごく、モノスゴク!勉強になりました。
生きた勉強です。
酒は生き物。りんごも生き物。酒はりんごよりずっとずっと細やかな調整が必要です。
私にはよくわからない技術的な話もありましたが、要は全ての場面で感覚ほどあてになるものはない。それを時間をかけて身に付けるということ。数字で造るのではない!五感で造るのだ!
そしてさらに社長は言いました。数字と手の感触に整合性はないのだと。
数字が良くても触ったときの感触が悪ければよいものは作れない。感触が確かであれば、数字が悪くてもよい物が必ず出来上がる。
数字を細かく管理することで70点のものはできる。でも絶対それ以上にはならない。80点90点の酒を造るには、人間の五感を使って調整するしかない。特に手で触った感触ほど重要なものはない。
これはもう、その土地や風土、人、そういったものが酒を醸しているとしか言いようがないのかもしれません。
りんご屋の私がこれだけ熱く感じるのは、共通点が多いからです。
私ども最終的には素手でりんごを触って、持って、その感触で判断します。小西園では選果、出荷の際、果実を触るときはどれだけ寒い時でも、果実表面が凍っていても全スタッフ素手で感触を確かめます。解らない場合はナイフで割って食べます。そうやって感覚を覚えていくしかないからです。
病気もされて、今は技術の継承にご注力されているそうです。この人の経験や感覚は、「水尾」という酒そのものなのだと思います。
私もいつか小西園のりんごは黒岩博之そのものだ、なんて領域に行きたいですね。
鈴木杜氏、またお話を聞かせてください。